S の ただ今ビサヤ語学習中(4): 日常の表現③
- 2018/03/23
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日常の表現③ 〜すみません(、通ります)。ようこそいらっしゃいました。〜
今回は、人前を通っていくときに言うExcuse me.にあたる表現と、人を迎える際の「ようこそいらっしゃいました」を紹介します。文法として、ビサヤ語の【文の基本構成】【時制の表し方】に触れていきます。
・赤字は強く読むアクセントのある音を示します。
・[/]は声門閉鎖音(glottal stop)を示します。第2回「日常の表現①」参照。
<基本例文1>
Agi ko.
<日本語訳>
すみません(、通ります)。
<解説>
・英語のExcuse me.にあたる表現ですが、人を遮って通り抜けるときに使います。
・音のイメージは /あぎ くお/。
・未来を表す接頭辞muをつけて、Muagi ko. /むおあぎ くお/ とすることもできます。
・agiは「通り抜ける(pass through)」という意味です。koは「私は」という意味の代名詞です。
・【文の基本構成】
ビサヤ語の文はその多くが「述語+主語」の形をとります。
例)Muagi ko.
「行く」は adto /あdとう/、「…へ」はsa ... /さ .../ なので、ドゥマゲテの代表的なモールであるRobinsonsを使うと、「私はロビンソンに行きます」の未来形なら次のようになります。
例)Muadto ko sa Robinsons.
「彼は」「彼女は」はsiya /すぃや/ なので、「彼(彼女)はロビンソンに行きます」の未来形なら次のようになります。
例)Muadto siya sa Robinsons.
この同じ文のままで最後を上げて発音すると疑問文になります。
例)Muadto siya sa Robinsons? = 彼(彼女)はロビンソンに行きますか?
文頭にくる述語は動詞とは限りません。次の文は形容詞が文頭に来ています。
例)Maayo ra ko. = 私は元気です。(ra /ら/ は確認の意味を込めた強調語)
ここでは、ふつう形容詞や副詞として使うmaayoが「元気である」という述語として使われていて、動詞はありません。このあたりは英文法の枠にとらわれていると理解し難いかもしれません。ビサヤ語を勉強して感じることは、いったん英文法の枠を頭からはずしてビサヤ語の言語感覚を理解する必要があるのではないか、ということです。
「主語+述語」の形をとる文もあります。
例)Ako si Allen. = 私はアレンです。= I am Allen.
si /すぃ/ は固有名詞を導入する単語です。この文では構造上、 si は英語の「be動詞」にあたる語でもあるとAllenも言います。ただし、まったく違う構造の文でも「si+固有名詞」はセットで用いられることがあるので、単純に「be動詞」に相当すると考えると間違いでしょう。
・【時制の表し方】
ビサヤ語は動詞に接頭辞や接尾辞をつけることで時制を表します。
すでに説明したように、mu- /むお/ という接頭辞をつけると未来形になりますが、ni- /に/ をつけると過去形になります。
例)Niadto ko sa Robinsons. = 私はロビンソンに行きました。
とはいえ、それぞれの時制を表す接頭辞や接尾辞はいろいろあり、ここで原則を全て示して紹介できるほど私自身理解できているわけではありません。今のところ、出会った表現を一つ一つ押さえて理解して行くしかないと思っています。時制については、進行形や現在完了にあたる表現なども押さえなければならないので、引き続き学習しながらまとめてみたいと思います。
<基本例文2>
Maayong pag-abot!
<日本語訳>
ようこそいらっしゃいました。
<解説>
・音のイメージは /ま[/]あいよん(g) ぱgあぶおt/。
・pag- /ぱg/ はすでに起こったことを表す接頭辞です。ここでも時制が接頭辞で表されています。
・abotは「到達する」を表す動詞で、英語のarriveに相当します。/あぶおt/ の /ぶお/ は 「ぶ」と「ぼ」との間くらいの音です。「ぶ」の口の形で「ぼ」と発音する感じです。
・全体としては、「到達した」ことを「すばらしい」と言っている表現です。
次回は時制の表現にさらに焦点を当ててみたいと思います。
(S)