S の ただ今ビサヤ語学習中(2): 日常の表現①
- 2018/03/03
- 14:02
日常の表現① ~おはようございます。調子はいかがですか。~
第1回はー日の時間による挨拶の表現をご紹介します。(注)赤字はアクセント(強く読む部分)を示しています。
1 <基本例文>
A: (1)Maayong buntag. (2)Kumusta ka?
B: (1)Maayong buntag, pud. (2)Maayo. (3)Salamat. (4)Ikaw?
<日本語訳>
A:(1)おはようございます。(2)調子はいかがですか?
B:(1)おはようございます。(2)いいですよ。(3)ありがとうございます。(4)あなたはいかがですか?
<解説>
A:
(1) Maayong buntag. = Good morning. = おはようございます。
・一般的な朝の挨拶です。
・発音のイメージは「ま[/]あいよん ぶんたーg」。(←[/]は以下で述べる声門閉鎖音(glottal stop))
・maayoは「良い」という意味の形容詞、ngは形容詞を名詞につなぐための接尾辞。buntagは「朝」という意味の名詞。
・全体の構造は
「形容詞Maayo」+「接尾辞ng」+「名詞buntag」
となっています。英語のGood morning.に相当する表現です。
・ビサヤ語の発音上の特徴として次の2つが重要だと思います。
(ⅰ)ローマ字で表記された音は、若干の例外を除き、原則としてすべての文字を一つづつ発音します。ただし、ngの場合、n は舌の根元で喉をふさいだ状態で鼻から空気を抜きながら声を出し、g は発音ないので注意が必要です。
(ⅱ)聞きなれないと思いますが、「声門閉鎖音(glottal stop)」が頻繁に用いられます。これは声門を急速に閉じることで肺からの空気の流れを止める発音で、それ自体に音はないのですが、次に母音が続くときなどは破裂音が起こるのが特徴です。
・maayongの ng の発音は上に述べた(ⅰ)になります。また、maの後に(ⅱ)の「声門閉鎖音(glottal stop)」があることに注意してください。イメージとしては、Ma でいったん喉の奥を閉じて息をとめて、次の a はのどの奥がパッと解放される感じで発音します。ぜひお試しを。
Ma[/]ayong (← [/]で声門閉鎖が入る)
・yo は両口角を左右に引いて舌の両サイドを上の奥歯に当てて声を出しながら o の発音に入ります。そのため、若干「いよ」に近く聞こえます。音のイメージは「ま[/]あいよん」です。
・buntagは最後の g も/g/の発音を入れることに注意をしてください。
(2) Kumusta ka? = How are you? = 調子はどうですか?、お元気ですか?
・音のイメージは「くむsた か」。(タガログ語でも同じスペリングの表現になるが、発音は「かむsた か」となる)ややゆったりと「くむsた かー」と発音するといいでしょう。
・kumusta は体調を聞く言葉、kaは「あなたは」を意味する人称代名詞 です。
B:
(1)Maayong buntag pud. = Good morning, too. = おはようございます。
・pud = too = …も
返答ではpudをつけるといいでしょう。「あなたにも」というニュアンスです。
・glottal stopを[/]で表記すると、Ma[/]ayon buntagとなります。
・pudの音のイメージは「ぷd」です。
(2)Maayo. = I'm fine. = 元気です。
・Kumusta ka?に対する返答。maayoはgoodやfineにあたる形容詞です。
・Maayo. 以外に以下の表現も用いられます。
Okay ra. 「おーけい ら」
Nindot. 「にんどっt」
・Maayo.は文の形をとるとMaayo ra ko.(ま[/]あいよらこ)なります。これはMaayoに強調のraがついて、さらにうしろに「私は」を意味する人称代名詞koを置いたものです。ngがないのは直後に名詞がないからです。maayoは形容詞ですが、たいていのビサヤ語の文は、このように述部を先頭に置き、主語をその後に置きます。動詞は必ずしも必要ありません。
(3)Salamat. = Thank you. = ありがとうございます。
・音のイメージは「さらまーt」。相手の目を見ながらゆっくり発音するといいでしょう。
・3つある a はすべて大きく口を開けて舌を口の底につけてはっきりと発音します。
・最後の t は英語を発音するときのような ts としません。丁寧に t と発音してください。
(4)Ikaw? = あなたはいかがですか?
・ikawは「あなたは」を表す人称代名詞です。
・音のイメージは「いかお」です。
Ⅱ. <関連表現>
以下では「おはようございます」以外の挨拶を紹介します。
(1) Maayong udto. = こんにちは。
・ランチタイムの挨拶です。11:30AM-12:30PMごろ使えます。
・音のイメージは「うっ(d)tu」。
・udtoは「真昼」の意味。発音するときの口は ◇ のような形にして、udto全体を通して口の形と顎の位置は変わらず舌だけ移動します。「u」で中位前方にあった舌を「d」で/d/の発音のために前方上口蓋に軽くつけてから「t」を発音し、「o」で下位後方へ引きます。アクセントは「u」にあります。
(2)Maayon adlaw = Good day. = こんにちは。/ さよなら。
・日中であれば、朝から夕方まで幅広い時間帯で用いることができる挨拶の表現です。
・音のイメージは「ま[/]あいよん あdらう」(← [/]でglottal stop)
・adlaw = day = 日
(3)Maayong hapon. = Good afternoon. = こんにちは。
・ランチタイムの後から夕方までの挨拶。1:30PM-5:45/6:00PMくらいで使います。
・音のイメージは「ま[/]あいよん はーぷn」。
・haponは「昼間の午後」を意味する。oにアクセントを置いて「はぽn」と発音すると「日本人」という意味になってしまうので注意してください。
・haponの a は大きく口を開いて舌は口の底にいっぱいに広がる感じ。やや長音となります。o は 口を ◇ の形にして、「お」と「う」の間くらいの感じです。
・haponの最後の n は舌を上歯茎につけた状態で終わることに注意。舌が中空に浮く日本語の「ん」とは違います。 私もつい日本式に発音してしまい、Allenからよく注意されてしまいます。
(4) Maayong gabii. = Good evening = こんばんは。
・夕方以降の挨拶です。haponのあとがgabii。「おやすみなさい」の意味でも用いられますが、夕方以降の挨拶と区別したいときはGud nayt.とも言います。発音は英語のGood night.と同じ。このような形でビサヤ語は英語がビサヤ語として取り入れていることよくあります。
・音のイメージは「ま[/]あいよん がび[/]い」(←[/]でglottal stop)
・gabii は「夜」(英語の eveningまたはnight)の意味。
・gabiiの発音については、次の点に注意してください。
(ⅰ) ga+bi+i を一つづつ発音しjます。「がびー」とならないように。詳しく言うと、 bi でいったん声門を閉鎖して次の i で開放します(glottal stop)。そうすると、2つ目の i は少し破裂音が加わるのがわかります。
gabi[/]i (←[/]でglottal stopが入る)
(ⅱ) i の発音は、両口角を左右に引いて強く「い」と発音します。
(ⅲ) アクセントは最初の i にあります。
以上、今回は時間による挨拶とそれにつながる挨拶を中心に紹介しました。
発音の説明を詳しくしたので煩雑になったかもしれませんね。Allenに厳しく(笑)指導してもらった賜物ですのでぜひ紹介したいと思いました。
(S)