フィリピンで野菜を買う【フィリピン野菜と果物・2】
- 2022/10/31
- 08:00
S)オレは仕事やめて移住して以降、あんたと一緒にこっちのマーケットで買い物することが多くなったけど、日本と比べてええなあと思うのは、野菜でも果物でも肉でも基本的に「量り売り」ってことと、日本やと規格外ってことで外されて無駄になる野菜もちゃんと売ってるってことやな。
J)そうね。ネギとかオクラとかは市場でも数本でまとめて一束いくらって売ってるのもあるけど、基本は量り売りね。いろんな形や大きさの野菜が大きなかごに入れられてて、そこから自分で必要に合わせて選べるのがいいね。
S)昔は日本でもそうやった記憶があるけど、今はだいたいパックになってて値段がセットで決まってるから自由がきかへんねん。その点、量り売りやと自分の都合に合わせて量を加減できるし、値段的にもフェアなかんじがするで。
J)それを言えば、バナナも大きな房から好きな量を切り取ってもらって買えるからいいわ。ただ、量り売りで失敗することもあるわよ。
S)ん?
J)量り売りって、たいてい1キロいくらっていう売り方でしょ。だから、値段の見当がつかなくて戸惑うこともあるのよ。
S)ああ、それか。確かにこの前、16本付いている小さめのバナナの値段を聞いて、1キロ50ペソって言われてな。全部は多いって思たから、ほな1キロって言うたら6本を切って秤にのせて『はい、1キロ』って、渡されたけど、6本じゃ少なすぎるから、反対側の10本を買ったこともあったな。
J)バナナは買っておくとお腹すいたときにすぐ食べられるから便利よね。
S)あんまりたくさん買うと何日かして一気に熟れてきて食べきれへんようになるから抑えて買うけど、うちの場合は3、4日で食べ切るつもりで10本くらい買うのがええ感じやな。
J)あと、規格外でも売ってるのは無駄にならないという点ではいいけど、ときどき変な穴が開いてるのがあったりするから気をつけないとね。その点で困るのはナスよ。
S)というと?
J)私はなるべくキズの少ないものと思って念入りに見るけれど、外見はツルツルしてて綺麗に見えても、だいたい4本中1本くらいは中に虫が入っているのよ。こんな↓ふうにね。

S)これやとざっくり乱切りにするのはちょっと心配やな。
J)そう。特に、ナスをそのまま丸ごと使う料理だと本当に心配よ!フィリピン料理の「トルタンタロン」に挑戦したいけど虫が嫌でなかなか出来ないわ。σ(^_^;)
S)ああ、それ、オレがこのまえ作ってみたやんか。丸ごと焼いたナスを皮むいてフォークで平らに延ばして卵をくぐらせてから焼くんや。美味しかったやろ?あのときは幸い虫は大丈夫やったで。
J)でも、虫を見つけたらその部分は使えないから、いつもすこし余分に買うようにしてるのよね。
S)規格外ゆうたら、市場やと、二股に割れてる人参、大根も普通に売っとるな。
J)逆にすごく形の良いものや見た目がキレイな野菜はキロ単価が高かったりするね。
S)他に日本の野菜と違う所って何かある?
J)大きさが違うことが多いね。大根は日本のと比べてかなり小さいわ。初めのうちは、ええー?こんなの売ってるの~?って感じだったわよ。
S)逆に、ナスは長くて大きい気がするで。
J)そう。だから日本のレシピ見ても調整しないといけないわ。
S)慣れへんと苦労するわけやな。
J)こちらの地元の玉ねぎは紫色なんだけど、すごく小さいのよね。だから、レシピに玉ねぎ2個ってあったら、4個使うとかしてるわ。
S)白い玉ねぎは大きいやんか。
J)あれは多分中国からの輸入物ね。じゃがいもも基本は中国産みたい。
S)中国産は結構多いんやな。
J)あと、ネギも日本で売ってるような太いのは見ないわね。細ネギしかない印象ね。トマトも小さいわ。それだけじゃなくて、青いままで売ってることが多くて、赤いのが好みの私たちとしては選ぶのが大変なこともあるよね。それから、これは関係ないかもしれないけど、トマトは日本だったらヘタの葉っぱもついてるけど、何故かヘタがない物ばかりでなぜかと思ってるの。
S)ほうほう。
J)あと、ゴボウがないのよね~。ピーマンはあるけど、固くて別物だね。あれじゃピーマンの肉詰めは出来ないわ。ああ、ピーマンの肉詰め食べたくなってきた~!
S)うちの畑に植えてたピーマンはやわらかかったやんか?
J)あれは中国のピーマンの種を見つけて植えてみたの。でもね、一度に出来るのが2つ位だったから肉詰め作るならもっとたくさんピーマン植えないとね。
S)矢継ぎ早にいろいろ出てきたな。この会話、初めはフィリピンの売り方のええとこ話そうかと思ってたんやけど、結局不満のオンパレードみたいになってきたで。
J)あ、それはちょっと違うよ。カルチャーショックみたいなものね。慣れればいいだけだし、こっちに来てから知った食材も多いし、悪いことばっかりじゃないよ。
S)日本でお馴染みのバナナも、日本ではあまり手に入らへん種類がいろいろあるやんか。ラカタンとか、熟れても緑色のグリーンバナナとか、調理用の短くて太いバナナとか。

(↑グリーンバナナ。この状態ですでに食べ頃)
J)私のお気に入りはラカタンという種類ね。他のと比べるとちょっと高いけどね。そう言えば、以前、フィリピンに引っ越して1年も経たないうちにこちらの野菜のことを紹介したけれど、あれから更に色々な野菜や果物と出会って、料理するようになったよね。

(↑サンデーマーケットで買ったラカタン。見かけはこんなに黒くても。。。)

(↑中身はきれいで食べ頃)
S)そやな。ここ最近買うようになったのは、スィクワ(SIKWA=英語名sponge gourd)とスィンカマス(SINGKAMAS)かな。
J)スィクワはウリかキュウリみたいだけど実が柔らかくてナスみたいな食感なのよね。だから、ナスと一緒に揚げ煮につかったりしてるわ。

(↑スィクワ)
S)スィンカマスはじゃがいもの大きいのみたいに見えるんやけど、切って食べてみるとナシみたいな食感でほんのり甘みがあるんや。マメ科の地下茎らしいで。うちではフルーツとして食べてるな。
J)初めは市場で見かけてもなかなか手がでなかったけど、美味しいよね。ナシと比べると水分がずっと少ないけど、食感がいいから、うちの愛犬のよっちゃんは大好物ね。


(↑スィンカマス)
S)あと、四角豆もしばらく前から使うようになったな。こっちではシガリリアスとかいうらしいけど、そのままフライにしたり、炒めたりして食べるとシャキシャキした食感楽しめるで。
J)そう。豆だけど、料理するときも食べる時も皮むかなくていいし、スジも取らないから楽でいいよね。

(↑四角豆)
S)あと、オレのお気に入りで、最近のうちの夕食メニューにときどき登場するのがココナッツミルク・スープやな。
J)うん。果肉が硬くなったオールドココナッツの実を買って、果肉の部分を削ってもらうのよね。それを水に浸してからしぼればココナッツミルクがとれるわ。水を加えてカボチャとちょっと粘性のあるアルバテ(ツルムラサキ)かサルヨット(モロヘイヤ)を加えて煮るだけ。
S)うちはオクラも入れてるよな。
J)味付けは塩コショウだけなんだけど、ほんのり甘みがあって美味しいよね。

(↑オールドココナッツ)

(↑削り取った果肉。これに水を加えて搾るとココナッツミルクがとれる)
S)日本に帰ったらこういうのんが普通には食べられへんようになるやろな。フィリピンにしか売ってへん野菜が懐かしくなるかもしれへんで?
J)あ~、それは言える。私、絶対そうなりそう!あ!モンゴ豆!モンゴ豆のスープも日本では食べられないかも…でも何より、ブコ(ココナッツ)が手軽に使えなくなるのが寂しいわ~。
S)オレも、そういうの色々ありそうや。今のうちにここならではの楽しみを満喫しときたいな。


(↑カメラとスーツケースを借りて、そろそろフィリピンに来ませんか?美味しいものは現地に来ないと食べられないよ~。)