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フィリピンの水事情・後編


J)前編では、上水道の配管ルートを変更する工事が無事終了したところまで話したね。

S)そうや。で、その後困ったことが起きたっていう予告で終わったな。

J)あの日は、工事の人が帰ったあと、安心して出かけることもできたわ。ところが、翌日になって、水道の様子がおかしいと思ったのよ。

S)水を出すとガボガボ音がして、そのうち濁ってきてたよな。あれは貯水タンクからの水がプレッシャータンクに十分入って来てないときの音やから、調べてみたら、貯水タンクに水が全然入ってなかったんや。外からの水を直接取り出す庭の蛇口を捻ってもまったく水が出えへんかった。

J)つまり、水道の水が来ていなかったのよね。プレッシャータンクからの水が出なくなるまでは普通に使えるから気づかなかったのよ。ここでちょっとタンクの事情を話したほうがいいかもね。

S)そやな。詳しく説明すると、この地域は山の滝の水を使ってて、山の上の方にある貯水槽から水が供給されてるらしいねん。そやけど、その水の供給は不安定で、勢いが強い時もあれば弱い時もある。あっちこっちで漏れたりしてる影響もあるんちゃうかな。それと、たしか夜中の10時から明け方の4時までは水が止まるねん。季節によっては昼間も止める時もあるんやで。そやから、貯水タンクを設置してる家がけっこう多いねん。我が家も大きめの貯水タンクを設置してるんや。

J)貯水タンクは家より高いところに設置して高低差で水を落とすか、貯水タンクを地面や地下に置いて、貯まったお水を家の隅々まで送るために、水を圧力で押し出すプレッシャータンクを使う方法があるわ。

S)うちは貯水タンクは地面に置いて、プレッシャータンクを使ってるんや。話を戻すと、そんな仕組みやから、プレッシャータンクからの水が蛇口に来てるうちは、外から水が来ていないことがわからへんねん。

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↑青いタンクが貯水タンク、右の小さめのがプレッシャータンク、その奥の青いのがプレッシャータンクに水を入れるポンプ、壁沿いにあるのがフィルター。

J)いつからかわからないけど、気づいたときには、貯水タンクの水は空っぽ、そして、プレッシャータンクの中の水も使い果たしてしまっていたのよね。それが工事をしてもらった翌日、金曜の午後だったのよ。土日はオフィスは休みでしょ。だから、まるまる2日間以上水無しになっちゃうわけ。

S)工事直後は確かに水が来てたんや。メーターを取り付けた時に確認したで。その後に何かが起こったということになるんや。

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↑我が家のメーター

J)水がないって本当に困るし心配になるよね。

S)停電にはけっこう慣れてきたけど、水がないのはきついわな。停電のときはプレッシャータンクに水を送るモーターが止まってしまうから、残った圧力がなくなると家の中では水が出なくなるんやけど、それでも外からの水を直接取る蛇口が庭にあるから、そこから水を取ればなんとかやっていけるんや。そやけど、水が完全になくなる事態はホンマに困る。

J)その数日前に、近所の人たちから「あなたのところ水ある?」って聞かれたよね。あの人たちの家は2日間水がでなかったんでしょ?あのときは我が家は水が出ていて、水のお裾分けをしたりしたけど、それからすぐに同じ事態になるとはびっくりしたよね。

S)そうや。あのとき、近所の人と、配管の水漏れを点検しに川まで行ったんやけど、水がジャージャー川に激しく流れ込んでて、みんな「たぶんあの水は私たちのところに来る水よ」って話してたんや。どこかでパイプが破損して漏れてるんやってな。それで、もしかして、今度はウチの配管がそこで外れているんやないか?って思って、見に行ったんや。そしたらドンピシャやった。一本だけ、メインの太い管から外れた配管があって、そこからジャージャー流れとったんや。





J)メインのパイプから各戸に行く配管が出ていて、それが外れるってことね。

S)そうなんや。

J)それで、あなたは水道局に水が出ないから直してくれるように言いに行ったのよね。

S)そや、ただし、その時はすごく暑い日でな。ウチらの住んでいる地域は夕方の5時まで水の供給を止めてるから、午後5時になるまで待つように言われたんや。それで待つことにしたけど、同時に、水がジャージャー漏れてるとこがあるから点検しといてくれとも頼んだんや。

J)ちょっと待って、何だか変な話よね?水道局の人が5時まで水の供給を止めているって言ったのね?それじゃ何で太い配管から外れた所から水がジャージャー流れていたのかしら?止めているなら流れないはずだよね?

S)うーん、今更だけど、確かにそうやな。「止めた」んやなくて「制限してた」っていうことやったのかもしれへんな。それとも、金曜の午後やったし、仕事したくないから適当な理由をつけられただけやったのかな?

J)でも、そうだとしたら、勢いはなくても水は来るはずよね。

S)いずれにしても、その外れた配管がその時点では我が家のものかはっきりしてなかったから、納得するしかなかったんや。でも、水が回復してるはずの午後7時になっても止まったままやった。それで、やっぱりあれは我が家に向かう配管やったんやないか?ってなったんや。

J)翌日の土曜日はお役所も全部休みだし、日曜日も当然お休み...。どうしようって途方に暮れたけど、あの工事をやってくれた配管工の連絡先に直接連絡することを思いついたのよね。

S)連絡したら、休みのはずやのに、土曜の午前中に修理に来て直してくれたんや。ホンマ助かったわ。それまで暗~い気分やったのがさっと晴れ渡った感覚やったな。

J)確認のために、水がジャージャー漏れてた川に行ってみたよね。

S)そうや。しっかり繋がってた。やっぱりあれがウチのパイプやったんや。

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↑右から3本目がうちのパイプ。

J)何度も言うけど、事務所じゃなくて、作業をしてくれる方の連絡先を聞いておいてほんと良かったよね。

S)ほんまや。個人に直接連絡したらこんなに早いとは思わへんかったで。

J)ところが!安心したのも束の間だったわ。

S)ああ。一難去ってまた一難とはこのことやと思ったで。

J)翌日の日曜日になって、プレッシャータンクからの水がまた間欠的になったのよね!

S)びっくりして調べたら、また貯水タンクは空っぽで、外からの水を取り出す庭の蛇口も水が出えへんねん。

J)それでまた水が来てないことに気づいたわけ。

S)川に見に行ったら、またまた、うちのホースが外れてて、メインのパイプからジャージャー水が流れてるんや。取り付け方が緩かったんちゃうやろか。



J)これ見ると、流れ方は1回目よりも多いね。

S)やっぱり、1回目の時は水を制限してたから勢いがなかったっていうことやったんやな。

J)2回目もすぐに同じ配管工の人に連絡したけれど、さすがに日曜は来てくれなかったね。

S)それでも、テキストメッセージに返信はしてくれたから、それだけでも気が楽になったで。

J)でも、月曜の朝には直しに来てくれて助かったね!

S)ほんまや。今回はしっかり取り付けてくれたらしく、あれ以来、今のところ水は問題ないで。そやけど、教訓として、いざというときのために水を貯めておくようにし始めたな。

J)うん。ペットボトルに何本も水は貯めてるし、何より、大きめのポリバケツを買ってきてそこを貯水槽にしたのよね。

S)飲水とか料理の水は水屋から買ってるガロンボトルを使うとして、トイレの水とか体を洗う水は貯水槽の水で賄えるからな。

J)ご近所さんの話を聞くと、貯水タンクのない家も意外とありそうね。そういう家は水が止まると直接影響がでちゃうから大変よね。やっぱりポリバケツとかに貯めてるのかしら。あと、タンクがあっても小さいとすぐ水がなくなるし、高いところに設置してると、水の勢いがないときはタンクに水が貯まらないということになって、やっぱり不都合ね。

S)ウチも初めは高いところに設置して重力で落とす計画やったけど、変更してよかったな。あと、水の配管のラインがわかったから、これからはあのつなぎ目を時々点検しに行った方がええかもな。

J)インフラの問題としては停電が多いことと水が不安定っていうことね。改善されるといいね。

S)そうやな。ただ、ゴムホース方式の水供給は案外イケてるかもしれへんで。システムが単純やからこそ、ほんの小一時間で水道管のライン変更もできたんや。これが金属の配管で地中に埋め込むタイプやとそう簡単にはできへんのちゃうやろか。

J)それはそうかもしれないけど、地表に露出してるから、悪い人がわざと壊したりパイプを切ったりするかもしれないよ。

S)そんな悪いことする人はおらへんという前提なんとちゃうか?人を信用してるんや、きっと。それはええことやで。

J)あなた、どうしてもフィリピンを擁護したいわけね。でもさ、やっぱり不衛生な感じしない?破損しやすいから、そこから土とかが入ってくるかも。実際、今日の水道水は何となく濁っていたわ。

S)ああ、確かに濁ってたな。

J)ドブの水が混じってたらどうする?

S)ええ~?あんた、悪い方悪い方に考えるんやな。大丈夫、大丈夫。少しくらい雑菌が混じってる方が免疫はつくっていう話やで。

J)もう!楽観的なんだから!



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ドゥマゲテ・レポート

Author:ドゥマゲテ・レポート
3.11以降、色々なことに気づき始めた私たち...
このまま、何事もなかったかのような毎日を過ごしていて良いのだろうか?悩んだ末に、千葉県から北海道に引越し、2017.7思いきってフィリピンに引越ししてきました。北海道に引越しした時も、フィリピンに引越ししても同じように考えている人って居るものです。そして仲間は多ければ多いほど協力して過ごしやすくなるものです。海外で暮らしてみたい人、なかなか思ったように一歩を踏み出せない人に、どうやって私たちが引っ越して来たか、私たちでわかる範囲のこと、特にドゥマゲテとその周辺の情報を発信していきたいと思っています。(J)

J の夫です。2019年3月にドゥマゲテから隣町のバレンシアに引っ越しましたが、ドゥマゲテ周辺ということでブログのタイトルは当面「ドゥマゲテ・レポート」のままでいきます。よろしくお願いします。(S)

*イメージはドゥマゲテから望むタリニス(Talinis)山の夕景です。
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