よっちゃん検査○性!?
- 2020/09/07
- 08:00
J)我が家の愛犬よっちゃんが8月最後の日曜日に行方不明になって、よれよれになって帰ってきて、翌日病院に連れて行ったところまで話したね。
S)担当医に、食欲もなくて水もうまく飲めない、って話したら、「入院させる手もある」って言われた。ただし、「感染症にかかって居ないことが条件」や。
J)もし感染症にかかっていたら、他の入院中の犬に感染してしまうからでしょ?
S)そうや。ところが、検査キットの在庫がないということで、他の病院に行くか、この病院で他病院から購入するかを選ぶことになってん。
J)え、そうだったの?
S)もちろん別の病院に行きなおすのは面倒くさいから、取り寄せてくれって言ったんや。そしたら10分ほどでキットが来た。
J)キットってどんなのだった?
S)検体を入れる部分と色が変わる部分があるねん。よっちゃんの場合は目ヤニを綿棒ですくい取って検体にした。
J)目ヤニが出てたもんね。
S)それを検体の受け皿の部分に入れるんや。担当医は「ふつうは5、6分、早いと2、3分で色が変わる」って説明してた。
J)うん、うん。
S)CとTという部分があってな。Cは「Control(対照部)」、Tが「Test(判定部)」と言うらしい。Cに赤紫色の線が出れば正常な試験が行われていると判断される。そしてTに赤紫色の線が出れば「陽性」や。ま、これ、あとで「免疫コロマト法」で検索して調べたんやけどな。
J)なんだか難しいね。そんなのいいから、早く結論言ってよ!
S)ええ~?大事なとこやのに~。
J)読者の皆さんも結論知りたいと思ってるわよ。むしろ結論だけかも~。
S)わかったがな。そしたら、「陽性」の場合はCとTの合計2本のラインが現れるってことだけ覚えといて。
J)わかった。
S)担当医の説明が終わるか終わらへんかのうちに、キットの検査シートがこうなったんや。

↑途中経過

↑ラインが2本現れた
J)え?2本の線がはっきり出てる。すぐにこうなったわけ?
S)1、2分やろか。担当医は「強い陽性」って言い方してた。そのキットにはDistemperって書いてあるのがわかるやろ?犬のウイルス性感染症の「ジステンパー」のことや。
J)最初聞いた時びっくりしたわ。感染症で入院が許可されないなんて。
S)ジステンパーは空気感染でものすごく感染力が強いから他の犬と一緒にできない、理解してほしい、って言われた。実際、そのとき診察室は、オレらが出たら消毒作業に入って、数時間は使えないって言ってた。最後の支払いに部屋の消毒の費用も入ってたで。
J)そうなんだ。それにしても、よっちゃんはどこから感染したのかしら。
S)たぶん外部の野良犬や。感染症の有無を調べる前に、予防注射の履歴を聞かれて狂犬病と虫下しのはやったって証明書見せたんやけど、それ以外にやっていないことがわかると、「野良犬との接触はあるか」ってしくこく聞かれたんや。
J)野良犬か。フィリピンは野良犬が多いからね。毛が抜けたりしてる明らかに病気の犬もいるわ。
S)柵の隙間が大きくて、外に勝手に出て、見知らない犬に近付くことがあったって言ったら、それならなおさら感染症を調べるべきだって言われた。熱は38.5℃で犬の平熱やったんやけどな。
J)それで陽性か。
S)ジステンパーは近くにおるだけで感染するらしい。幸い、人間は感染しないんやけど。
J)よっちゃんを自由にさせていたのは間違いだったね。ロープに繋いでおくべきだったわ。
S)うちのアパートは父親のランボーとよっちゃんが敷地を自由に歩き回ってたからな。その習慣に任せてしもたのがあかんかったな。しかも、フェンスの隙間が大きすぎて自由に外に出られるんやから。
J)ジステンパーだけど、病状とか詳しいこと調べたら怖いこといっぱい書いてあるね。
S)そうやねん。生後3カ月を過ぎると母親からの移行抗体が失われ感染しやすい。元気がなくなる、下痢、高熱から始まって、神経や脳に回ると、チックや痙攣、歩行異常が起こることがある。有効な薬はなく、死亡率は5割とも9割とも。回復してもチックが残ることあり。
J)致死率9割っていうのを読んで、私、泣きそうだった。
S)とにかく入院出来ないことは確定してしもたわけや。この後は、家で精一杯のことをやるしかないって思たで。
J)薬を処方されたけど、あれはなんだっけ?
S)ダニから感染する「エーリキア症」っていう病気に対する飲み薬や。1日2回、朝晩の食後に飲ませるんや。
J)つまりよっちゃんはジステンパー以外にもう一つ病気にかかってたってこと?
S)その可能性があるってことや。よっちゃんの体を見て、担当医から「ダニがたくさんいるけど前から?」って聞かれたんで、ずっと前からやって答えたんや。そしたら、血小板が減ってるのは「エーリキア症」のためだろうと。
J)でも、もう一つのジステンパーそのものについては処置はなかったの?
S)いや、あったで。ジステンパーに対する「抗体」を打ってくれた。点滴をセットするときに一緒にな。
J)抗体を打てば大丈夫なのかな?
S)いや、それは助けにはなるけど、結局はよっちゃん自身がジステンパーに対する抗体をつくらなあかん。「よっちゃんが抗体を作って乗り越えるのを期待しましょう」って言われたで。
J)事故の話は途中からどこかにいっちゃったね。
S)まったくや。最初オレらはレントゲンを撮ってもらおって思ってたんやけど、結局そこまでいかへんかった。
J)でも、もう歩けるようになったし、骨折は大丈夫そうじゃない?むしろ問題は病気ね。
S)食欲がまったくなくて、水も飲めない状態やったから、病院では点滴をセットしてもらった。家で面倒みなあかんから点滴薬の交換の仕方も教わってな。
J)食後に薬って言われても、固形物を口にしないから、ペースト状の缶詰をもらってきたのよね。
S)針のない注射器ももらってな。ペーストを注射器で口に注入するんや。その後でまた別の注射器で薬を飲ませるようにって。
J)結局まとめると、よっちゃんは交通事故にあったらしく、その検査のために動物病院に行ったら、事故の話はどこかに行って、検査で「ジステンパー」にかかってることがわかって、さらに症状から「エーリキア症」にもかかってるだろうという判断を受けた。
S)そう。意外な展開やった。
J)そして、ジステンパーに対しては抗体を打ってもらったけれど、治るためにはよっちゃん自身が抗体を作る必要がある。感染症のため入院はできなかったから自宅で療養することになって、エーリキア症の薬をもらって点滴もセットしてもらった。
S)はい。ようまとめました!
J)初めて行った病院で、そこまでやってペディキャブで帰ってきたのね。
S)そうやけど、最後に、ジステンパーの感染性が強いから、他の犬からは離しておくようにって言われた。実際、診療の支払いも窓口ではなくて、その診察室でしたんや。
J)他の犬たちに感染しないようにだね。
S)ああ。たぶん、オレらが座ってた待合の場所も消毒作業したと思うで。
J)私が本当に悔やんでるのは、よっちゃんを自由にさせていたってことだわ。外に出られることがわかっていたのに。
S)そうやな。
J)交通事故の危険があるだけじゃなくて、どこかで感染症をもらってくる可能性があることに気づかなきゃいけなかったわ。
S)まったくや。
J)それで、帰ってきてからのよっちゃんとの生活はこれまでとガラッと変わったのよね。
S)そうや。致死率が9割とも言われる感染症をかかえた犬との生活。考えても見なかったで。
J)次回はそんなよっちゃんとの生活を話そうね。

↑点滴をセットされて疲れた顔で帰るよっちゃん
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