S のただ今ビサヤ語学習中(19)
- 2019/12/11
- 08:00
前置詞② sa以外の様々な前置詞
今回は前回に引き続き前置詞を扱います。前回はsaを扱いましたが、今回はそれ以外の前置詞を扱います。
(1)「(期間)の間」を表すsulod
<基本例文>
Nagpuyo ko sa Valencia sulod sa walo na ka bulan.
<日本語訳>
私はバレンシアにもう8ヶ月間暮らしている。
【解説】
・sulod sa walo na ka bulanは「もう8ヶ月の間」という意味で、sulodは「(期間)の間」の「の間」を表しています。英語ならfor eight monthsのfor にあたります。
・waloは「8」、walo ka bulanで「8ヶ月」という意味。naは「もう」を表しています。
・nagpuyoは「住んでいる」という意味です。puyo「住む」に進行中の意味を表すnagがついたものです
(2)「(場所)の近く」を表すdapit
<基本例文>
Nagdag-om dapit sa bukit.
<日本語訳>
山に近い雲行きが怪しい。
【解説】
・dapit sa bukitは「山の近く」という意味で、dapitは「(場所)の近く」の「の近く」を表しています。英語ならnear the mountain のnearにあたります。
・dag-omは「雲行きが怪しい、雨が降りそうだ」という意味。nagdag-omはこれに進行形のnagがついた形です。天気の表現では主語は不要です。
・bukitは「山」という意味です。
(3)「(起点)から」を表すgikan
<基本例文>
Muanhi sa akong anak nga lalaki gikan sa Japan.
<日本語訳>
私の息子が今度の12月に日本から来ます。
【解説】
・gikan sa Japanは「日本から」という意味で、gikanは「(場所の起点)から」の「から」を表しています。英語ならfrom Japanのfromにあたります。
・「(時の起点)から」という意味で用いることもあります。
(4)「(場所)出身の」を表すtaga
<基本例文>
Taga Japan ko.
<日本語訳>
私は日本出身です。
【解説】
・taga Japanは「日本出身の、日本から来た」という意味で、tagaは「(場所)出身の、(場所)から来た」という意味を表しています。英語なら出身を表すfrom にあたります。
(5)「…とともに」を表すuban
<基本例文>
Mubalik siya sa Japan uban sa iyang asawa sa sunod tuig.
<日本語訳>
彼は来年彼の妻と一緒に日本に帰る。
【解説】
・ubanは「…に付きそう、…と一緒に行く」という動詞ですが、この例文ように、「…と一緒に、…とともに」という前置詞として用いることもできます。uban sa iyang asawaで「彼の妻と一緒に」という意味です。iyangはsiya「彼、彼女」の所有格iyaに接続語尾のngがついたもので、ここでは「彼の」という意味。また、asawaは「妻」という意味。
・mubalikは、balik「戻る」という動詞に未来を表すmuがついたもので、「戻るでしょう」という意味になります。
・sa sunod tuigは「来年に」という意味。sunodは「次の」、tuigは「年」という意味です。
(6)「…なしで」を表すwala
<基本例文>
Nangayo sila og kwarta wala nikanta.
<日本語訳>
彼らは歌わずにお金を求めた。
【解説】
・walaは否定語として用いられますが、wala ...で「…なしで、…しないで」という意味でも用いられます。この用法は前置詞とみなしていいでしょう。英語ならwithoutにあたります。
この用法は師Allenから教わったものですが、この例文では後ろに動詞を持ってきています。walaの後ろにkanta「歌う」の過去形nikanta「歌った」を置き、wala nikantaで「歌わずに」という意味になっています。nangayo /なん(g)あよう/ は、pangayo /ぱん(g)あよう/ 「求める」という動詞に過去を表すniがついて形が変形されたもので、「求めた」という意味です。
・silaは「彼らは」という意味。
・フィリピンにはクリスマスの時期になると主に子供たちが家々を回ってクリスマスキャロルdaygon /だいごn/ を歌う習慣があります。その子供たちに対してお菓子やお金などを与えるのですが、大人がやってきて楽器の演奏と歌を披露することもあります。ところが、ドゥマゲテに暮らしていたとき、一家で車でやってきて歌も歌わずにお金だけ求めてきたことがあり、Allenにそのことをビサヤ語で説明していたときに話した文が上の文です。
(7)「(道具など)で」を表すgamit
<基本例文>
Niadto kami sa Valencia gamit ang akong motor.
<日本語訳>
私たちは私のバイクでバレンシアに行った。
【解説】
・gamitは「…を使う」という動詞ですが、この例文のように後ろに名詞を伴ってgamit ...で「…を使って、…で」という意味の前置詞として用いることができます。ここではgamit ang akong motorで「私のバイクで」という意味。angは定冠詞の働きをしています。
・Niadto kami sa Valenciaで「私たちはバレンシアに行った」という意味。
(8)「(目的)のために」を表すpara
<基本例文>
Unsa'y mahimo ko para kanimo?
<日本語訳>
あなたのために私は何ができるでしょうか。
【解説】
・para ...で「…のために」という意味です。後ろに文をつけて接続詞として用いることもできますが、後ろに名詞をつけて前置詞として用いることもできます。ここではpara kanimoで「あなたのために」という意味になります。kanimoはikaw「あなた」の目的格です。
・mahimoは、himo「する」という動詞に未来と可能の意味を併せ持つmaをつけた形で、「(これから)する(ことができる)」という意味を表します。
・unsa'yは、unsa「何」に後続の語への音声上の流れを良くするためのyがついたものです。
今回は前回に続き、主な前置詞をまとめてみました。
今回紹介しきれなかったものもあります。一部紹介しておきます。
・kutob「…まで」(英語ではuntil にあたります)
・kabahin「…について」(英語ではabout にあたります)
・padulong「…行きの」(padulongは「…に向かっている」という意味の動詞ですが、前置詞としての用法もあります。英語ではforにあたります)
・atbang「…の向かい側の」(英語ではoppositeにあたります)
次回は比較について扱うつもりです。