J)私たちがバレンシアに引っ越してきたのは、この近くに家を建てる計画があったからなのよね。
S)そうや。やっと土地を手に入れたからな。
誤解されるかもしれへんから一応言っとくけど、フィリピンでは外国人は土地を所有できへんねん。
うちらは二人とも日本人やから権利書の名義はフィリピンの人や。
その人から土地は自由に使ってええっちゅう契約で長期リースしたゆうことや。
それでそこに家を建てようってことになってるわけやな。
J)まあそんなところね。
ところで、家を建てようと思ってる土地の裏にはココナッツの木が沢山あるのよね。
S)ああ。南国らしくて、借景にもなるからええんやけど、問題があったなあ。
J)うん、そのうちの何本かが土地の境目付近にあって、上の方がうちの土地のほうに覆いかぶさるように立ってたのよね。
S)そうや。上の方にはココナッツの実があるやろ。それが落ちてきたらメチャ危険やねん。
あの実の重さはひとつ2kg超えるんやで。それがあんな高い所から落ちてきて、人の頭に落ちたら死んでしまうかもしれへんし、塀とか建物に落ちてきたら損害が出てしまう。
それで、近所の人の助けも借りて木の持ち主の了解を得て買い取らせてもらうことになったんや。
最初2本、次にまた2本買ったけど、背の高いのが1500ペソ、それより低いのが1000ペソやったな。
J)どうせなら、その木を家の一部に装飾的にでも使えないかとか、色々考えたけど耐久性の問題で難しそうだったのよね。
S)そやけど、大工さんの一時的なテーブルや椅子にすることは出来るから買い取らせてくれへんか、って工事の業者に言われたんや。無駄にならへんで良かったし、買ってくれて助かったわ。
J)でも、実をちょっとだけ分けてくれないかしら、と言っておいたら、大きな実はほとんど持って来てくれたね。最初の2本の木で23個もあった!
S)さすがに23個は多いから、お世話になっている人たちにおすそ分けしたな。
J)その2本の木を切った後に、まだ危なそうな木が2本あって現場の人に指摘されたのよね。
S)そや。それでその2本も追加で買って切らせてもろたわけや。
合計4本で5000ペソかかったけど、全部建設業者が買ってくれたから助かったで。
J)でも私、驚いたことがあったわ。
S)え、何?
J)ココナッツ・ツリーを切るのに役所の認定が必要ってことよ。
S)ああ、そうやった。バランガイ(最小の行政区域)のチーフにその木についての認定書を発行してもらわへんとあかんらしい。
認定書にはこんな風に書いてあったで。
・この2本のココナッツの木の位置は◯◯である。
・この認定書はココナッツの木が人命と不動産にとって危険であることを認定するものである。
・この認定書は**の求めに応じ、**の最善の目的のために発行される。
**のとこには土地のオーナーの名前があるねん。
J)木を切るのにそういう認定書が必要って興味深いと思ったわ。個人の持ち物なのにね。それだけ国として大事にしている南国の象徴的な木ってことなのかしらね?
S)それはわからへんな。Coconut treesって書いてあるとこはもともと空欄で、申請に応じて記入したみたいやし。大切なことは「人命と不動産に危険」ってとこかもしれへん。そこは初めから印刷してあるねん。
J)ところであのココナッツの実、あちこち配って手元に残ったのをどうやって割ろうかと地元のフィリピン人に聞いたら、やっぱりナタが必要そうってことで、サンデーマーケットに買いに行ったよね。

(↑535ペソで購入したナタ)
J)この続き、私たち流ココナッツの開け方と、簡単美味しい食べ方はあとで「料理」のところで紹介しましょうか?
S)そやなぁ...
ココナッツは生育度もひとつひとつ違ってて、口に入れるまでも一苦労やったからなあ。
そこも記録しておきたいなあ。