Sのただ今ビサヤ語学習中(11)
- 2019/05/05
- 10:00
否定の表現①:wala
否定の表現「…ない」にはdili/でぃり[/]/を使うものとwala/わら[/]/を使うものがあります。
また、命令文「…するな」ではayaw/あやお/を用います。
今回はwalaについてまとめます。
1. 存在・所有を否定する 「…がない」を表すwala
<基本例文>
A: Wala'y pangutana?
B(1): Wala. / Wala ra. / Wala ko'y pangutana.
B(2): Naa.
<日本語訳>
A:質問はありませんか。
B(1):ありません。
B(2):あります。
【解説】
・walaは「…がない」で / わら[/] /と発音します。
・pangutanaは「質問」という意味で、 /ぱん(g)うぉたーな/ と発音します。
・存在・所有を否定する「…がない」という意味のwalaの使い方は2通りです。基本例文では簡単なほうの(1)を使っています。
(1) Wala'y+名詞. で「…がない」という意味になります。y / い /は接続のための接尾辞です。
Wala'y pangutana? / わらい ぱん(g)うぉたーな / で「(あなたは)質問がありませんか」という意味になります。
(2) Wala+人+名詞. で「人は…がない」という意味になります。
Wala ka'y pangutana? / わら[/] かい ぱん(g)うぉたーな / で「あなたは質問がありませんか」という意味になります。kaは「あなた」を表しています。
・Aの質問に対する否定の返答「ありません」は、
Wala. または Wala ra. / わら[/] ら /
となります。raを用いると意味が強調されます。
また、用法(2)を用いて
Wala ko'y pangutana. / わら[/] くぉい ぱん(g)うぉたーな /
とすることもできます。koは「私」を表しています。
・逆に、「あります」という肯定の返答は、「…がある」という意味のnaa / な[/]あ /を用いて
Naa.
と答えます。
naaは
Naa+名詞.
で「…がある」を表します。
<例文> Naa'y kwarta?「お金がありますか」
・kwarta /kわrた/は「お金」という意味。
また、
Naa+人+名詞.
で「人には…がある」という意味も表します。
<例文> Naa ka'y kwarta? 「あなたはお金を持っていますか」
2. 文を否定する「…(し)ない」のwala
・「1」で説明した「…がない」とは違って、「…である」や「…する」という文を否定して「…(で / し)ない」という意味になるwalaもあります。
使い方は、
Wala+主語+述語.
です。
・このwalaは主に「現在」と「過去」の内容で用います。
(1)【現在の文の否定】
<基本例文>
A:Wala ra ka naglibog?
B(1): Wala ra.
B(2): Naglibog ko.
<日本語訳>
A:あなたは混乱していませんか。
B(1):混乱していません。
B(2):混乱しています。
【解説】
・上の<基本例文>は libog / りぼぅg / 「混乱している」 を用いています。
nag-で「今…している」という意味を表しており、
Wala ra ka naglibog?
で「あなたは今混乱していますか?」という意味になります。肯定文も同じ形ですが、疑問文では最後を上げて発音します。raは強意を表します。
・「混乱していません」という否定の返答は、
Wala ra.
です。
・「混乱しています」という肯定の返答は、述語部分を再度表現して、
Naglibog ko.
とします。
<発展>「あまり…ない」の表し方
<基本例文>
A: Nakasabot ra ka?
B(1): Nakasabot ra ko.
B(2): Wala kaayo ko nakasabot.
<日本語訳>
A:わかりましたか。
B(1):わかりました。
B(2):あまりよくわかりません。
【解説】
・「あまり…ない」という否定は「とても」を表すkaayoを用いた文否定する形で表します。
Wala kaayo+主語+動詞.
のようになります。まずは A の問いから見て行きましょう。
・sabot /さぼぅっt / は「理解する、わかる」という意味。naka- をつけると「今までにすでに…した」あるいは「…して今に至っている」という意味合いになります。
・Nakasabot ra ka?で「あなたは理解しましたか」という意味です。
・B(1)は ka を ko に置き換えて「私はもう理解しています」を表します。
・B(2)で「あまり…ない」の wala kaayoが用いられています。 「とても…というわけではない」→「あまり…ない」を表します。ko nakasabotと続けて「私はあまり理解していません」という意味になります。
(2)【過去の文の否定】
<基本例文>
A: Wala ka nilakaw sa Robinsons gahapon?
B(1): Wala.
B(2): Nilakaw.
<日本語訳>
A:あなたは昨日ロビンソンに歩いて行きませんでしたか?
B(1):行きませんでした。
B(2):行きました。
【解説】
・walaは (1) のような「現在の文」だけでなく、「過去の文」の否定に用いられます。
・lakaw / らかお / は「歩いて行く」「歩いて立ち去る」という意味。ni- /に/ は過去を表すので、nilakawで「歩いて行った」という意味になります。
・sa Robinsionsで「ロビンソンに」という意味。「ロビンソン」はドゥマゲテ最大のモールです。gahapon /がはぽぅn/ は「昨日」という意味です。
・B(1)の Wala.は文脈から「私は歩いて行きませんでした」という意味になります。
・B(2)の Nilakaw.は「私は歩いて行きました」という意味になります。
以上、walaでした。walaとは違い、「未来の文」に用いられるのがdiliです。また、否定の命令に用いるawawもあります。
次回は dili、および ayaw について紹介します。