3.11以後の話⑨:関東の汚染
- 2019/02/08
- 08:00
S)この前は黄色い粉について話したけど、ちょっと補足しておきたいことがあるねん。
J)うん。何?
S)最近あった東海村のMOX燃料漏れの件、あれ、ネット上でも不安の声が上がってるんやけど、勘違いしたらあかんことがある思うねん。どういうことかっていうと、何と言っても2011年の福島原発の爆発こそが東北・関東、それから日本全国の放射能汚染を引き起こした最大の事故やったってことや。
だから、いまさら汚染の可能性を不安がってるのは勘違いや。すでに汚染されてしまってるってことを踏まえて、じゃあどうしようか、って次の行動を考えるべきやねん。
J)そうね。この前の東海村の放射能漏れで不安になる前に、すでに汚染が酷い現実があるわけだからね。
S)それに、あの黄色い粉の由来をつきとめることは一般市民には難しい。そんなことよりも、事実としての汚染を知ることが重要や。それやったら、ガイガーカウンターとか他の測定器とか使って測定もできるやんか。そこを行動のベースにせなあかんと思うねん。
J)原因追求よりも事実から出発ってことね。
S)そう。それに関連して言えば、実は、先月から福島第1原発で時々煙が出てるのがTEPCOのライブカメラに写ってて、2月に入ってなぜかフクイチ上空をドローンらしいものが飛行してるのをアメリカのウォッチャーが連続スクショしてるらしいねん。
J)え?何かあったのかしら。
S)何か異変があった可能性がある。それが黄色い粉に関係あるかどうかはわからへんけど、線量の上昇には関係あるかもしれへん。
J)いやね~。でも、これも実態はわからないのよね。
S)そや。情報はすでに隠蔽されてるわけや。だからこれも「不安」材料ではあるねんけど、オレたちはあくまでも今、実際にある汚染の事実から出発すべきやと思う。そうすれば、これからどうすればいいかも判断できると思うねんけどな。
J)そうよね。まずは汚染の実態を知ってどうしたら良いのか対策立てなきゃね。
S)あと、また2011年3月の黄色い粉に戻るけど、実はその予告やったんやないかという出来事がその前にあったんで、ちょっとだけ話したいんやけど。
J)うん、いいよ。何かしら?
(参考:関東に降った黄色い粉についてのNAVARまとめ)
https://matome.naver.jp/odai/2140784266635635001
S)2011年3月11日の地震の時、あんた遠くで煙と炎が上がってるのを見たって言ってたやんか。
J)そうよ。
S)あれはコスモ石油のタンクの爆発やったな。
J)そう。タンクの爆発は写真も動画も見たわ。
S)で、あのあとすぐ、危険なものが雨に付着して降り注ぐから気をつけなあかんって内容のチェーンメールとかそういう内容のツイートが流れたん、覚えてるか?
J)そうだったわね。
S)ところが、そのあとすぐ、コスモ石油からも自治体からも、それはデマやから信用するな、みたいなアナウンスが出されたんや。
J)つまり、噂を打ち消してたってことね。
S)今から思えば、噂の火消しがすぐ拡散すること自体、あの最初のメールとかツイが真実を突いてた証拠に思えるんやけど、どない思う?
J)どういうこと?
S)いや、あの時、関東地域は2重の意味でものすごい災害に遭おうとしてたんちゃうかって思うねん。
1つはもちろん福島原発の事故が起きようとしてたってことや。
J)うん。もう一つは?
S)もう1つは、市原の爆発事故で隣のチッソの劣化ウラン倉庫が焼けたことや。
ネットにアップされてる市原の爆発映像見たら、核爆発のキノコ雲と同じようなやつもあるで。
もしかしたらそれがウランの爆発やないかって話もある。
J)うわ~。もしそれが本当なら、そこからウランがやってきていたってこと?
S)ああ。つまり、関東の汚染は福島原発からのものだけじゃないってことになるやろ?
それがあの黄色い粉やったんちゃうか、ということや。
空中に滞留していたのが雨で落とされたんちゃうやろかとも思えるねん。
J)確かにうちの庭も高い線量が出たんでしょ。
S)そう。うちの庭にはウランが発するアルファ線がかなり高かったみたいなんや。
J)翌年に、性能のいいガイガーカウンター買って測定してたわね。
S)ああ。2012年にインスペクター・プラスっていうのを買ってな、庭のベランダの表面測ったら、0.868マイクロシーベルトまでいった。
その測り方やとアルファ線、ベータ線、ガンマ線のすべてが入りこんだ値っていうことになるんやけど、アルファ線を遮蔽するカバーつけたらグッと下がるねん。
さらに、ガンマ線だけ測れるようにして地上1.5メートルで測ったら0.15マイクロシーベルトくらい。
つまり、ウランとかプルトニウムが出すアルファ線がやたら多かったってことや。
J)ウランとプルトニウムって、半減期も長くて一番怖そうなヤツじゃない?
数値についてはよくわからないけど、そもそもその数値は平常時と比べてどの位高いの?
S)そうやな。なんとかシーベルトっていうのは放射線が生物の体に当たった時の影響力を表すのに使う単位なんやけど、福島原発の事故前の関東は、ガンマ線の空間線量で0.02~0.03マイクロシーベルトくらいやったって言われてるから、それから見たら0.15で5~6倍くらいやろ。つまりそれだけでもかなり高い。
でも、0.86マイクロシーベルトあたりになると、メチャ高いわけや。
J)それが2012年の数値だとしたら、2011年はもっと高かったのかしら?
S)そうやな。さらに翌年の2013年に同じベランダを測ったら、0.6マイクロシーベルトくらいになってた。
おそらく付着してたアルファ線の核種が雨とかで流されて減ったんやろ。
そこから逆算したら、2011年は1マイクロシーベルトを超えてたんやないかと思うで。
J)(°▽°)高いことだけはわかるわ...。
うちは船橋だったけど、あなたが仕事に行ってた東京はどうだったのかしら。
S)東京タワー近くの高層マンションのエアコンフィルターの話があるわ。
J)え?
S)そのマンションの20階の住民が、原発事故のあと、すぐどっかに避難したんやけど、何ヶ月かたって戻ってきて、エアコンのフィルターをヨーロッパ放射線防護委員会(ECRR)のバスピー教授に送って調べてもろたんや。
J)そしたら?
S)そしたら、なんと、ウランが3000ベクレル / kg 以上検出されたっていうねん。
ずっと締め切ってたマンションなのにもかかわらず、やで。
J)えーーー?!! ってビッリして見せるけど、さっきはシーベルトで、今度はベクレル、3000ベクレルってどれくらいなのかよくわからないわ。
S)さっきのシーベルトは飛んできた放射線が生物の体に与える影響の強さや。それに対して、ベクレルっていうのは放射性物質そのものの、放射線を発する力の強さを表す単位や。1秒間に1回放射線を飛ばす力が1ベクレルや。日本の放射性廃棄物を管理するための法律では、100ベクレル / kg 以上のものは黄色いドラム缶に詰めて地中に埋めなアカンねんで。
J)え、じゃ、その何倍?
S)30倍や。
もちろん、それは福島原発から来たものがあると思う。
でも、たぶん、それだけではないで。
言いたいのは関東は福島原発だけやなくて、近くの災害でもやばいことになってたんちゃうかっていうことや。
(参考: ECRRのバズビー教授は港区のエアコンフィルターから測定されたウラニウムは福島由来と言っている。でもそれだけではないかも?)
http://enenews.com/quite-extremely-radioactive-sample-tokyo-air-filter-150-times-uranium-expected-fukushima-busby-video
J)アア。なんか絶望的~。
S)残念ながら、周りのほとんどの人はこんなこと気にせんとふつうに暮らしてたワ。
J)放射能はクヨクヨ気にする人にやってくる、って言ってた専門家いたわね。
S)ああ、おったおった。笑いながら過ごす方が免疫力上がるってのはあるかもしれへんけどな。でも、それで乗り越えられるもんとは思えへん。
実際、あの人、それを福島の一般向けの講演会で話した当日に、専門家だけの別の集まりでは、子供に大変な影響があるかもしれへんって言ってたんや。
J)まあ!なんてこと! それじゃ市民は実験動物みたいじゃない!?
S)ホンマや。研究論文書ける思って内心ホクホクしてたんちゃうか?あんな二枚舌に騙されたらアカンわ。
J)そうよね。私たちもいろいろ情報集めたら、あそこに住み続けるのは危険だということがわかってきたのよね。だからこそ、我が家を手放して、まず北海道に移住したのよね。
S)そうやったな。周りの人にもここは危険やって言ってみたけど、同じ考えの人はごく一部やった。それ以外の人にはいくら言っても真剣には受けとってもらわれへんかった。
だから、途中からあまり言わんようになったワ。関係が悪くなりそうやったからな。
J)住みにくくなるからね。仕事もやりにくくなるでしょ?
S)ああ。そういう人たちは、放射能はたいしたことないって思ってるか、済んでしまった放射能のことばかり気にするとストレスになるから気にしすぎはよくない、って考えてたみたいやったけど、逆に、彼らと付き合っていくほうがストレスやったで。
J)そういえばあなた、あのころ、日本が気持ち悪い、外に出たいって言ってたわね。
S)そうや。あんだけ酷い事故を起こされて、住むとこもメチャ汚染させられたのに、みんななぜかニコニコして静かすぎるねん。気色悪かったんや。
J)とはいえ、最初の移住先は北海道で日本だったわね。でも行ったら、びっくりしたわね。私たちのような人が関東からもいっぱい避難移住していたんだから。
S)あれはホンマびっくりした。オレたちにとって移住は一大プロジェクトみたいなもんやったけど、そういう困難を乗り越えて移住してる若い人がぎょうさんいたもんな。移住せえへんかったら決して出会うことのないたくさんの人に出会えたのはよかったな。でも、ちょっと残念なのは、さらに海外に移住しようっていう人がほとんどおらへんかったことや。
J)そりゃあ、それぞれ事情もあるし、考えもあるからね~。でも、いたことはいたし、北海道でもそれまでいたところと比べれば安全だと思うからいいんじゃないの?
S)まあ、それはそうかもしれん。それぞれやからな。ただ、オレはここドゥマゲテに移住してこれてよかったと思ってるで。
J)私は本当のことを言うと英語が苦手だからまだ不安があるんだけど、それを除いたら、息子が日本とは違った創造力と発信力を伸ばす教育を受けている様子を見ても、英語力をぐんと伸ばしているのを見ても、良かったと思っているわ。
S)それならよかった。息子を英語の世界に連れてくることができたんは大きいよな。
日本から逃げると言うとネガティブに聞こえるけど、オレにとってこの移住は、被曝回避としても、今の日本の支配層に対するするノーの意思表示としても、自分なりに積極的な行動やったと思ってるし、新しい世界で新たな人生を歩むという意味でもポジティブな決断やったと思ってる。
J)私はやっぱり不安もあるけど、せっかくここまできたんだから、この決断を無駄にしたくないと思っているわ。この決断が本当によかったと思えるものになるといいと思う。
S)同感や。お互い、そうなるように努力しような。
J)うん。それと、日本にいる人がもう少し気づいて被曝を回避してくれるといいな、とも思ってる。
S)身内もおるし友達もおるしな。
あと、ここフィリピンの人は日本に行きたがる人多いやろ。そういう人が無知のまま行って被曝せえへんで欲しいなあ。
J)うん。そのためには日本の現状をちゃんと伝えなきゃね。
S)そいういうことや。
J)それ、あなたがここでできることの一つかもしれないね。
S)え、「あなた」やなくて「私たち」やろ?
J)だめよ。私は英語が苦手なんだから。フィリピン人に伝えるのはあなたの仕事よ。真実を伝えてよ。頼りにしてるわ~。お・ね・が・い・よ。
S)なんやそれ~?